熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器内科学分野

熊本大学医学部付属病院 呼吸器内科学分野

関連病院からのメッセージ

熊本赤十字病院 呼吸器内科部長 溝部孝則

 熊本赤十字病院は、「人道・博愛・奉仕の実践」を基本理念に、熊本の急性期医療の中核病院として「人と社会のまさかの時に寄りそう病院であり続けたい」をスローガンに医療を行っています。熊本県内東部方面を主な診療圏とし、24時間365日あらゆる領域の疾患に対応するべく充実した環境の中で地域の医療ニーズに対応しています。
 呼吸器内科では平成23年に溝部孝則が呼吸器内科部長に着任し、医師3名が年間約1万名以上の外来患者及び8千名以上の入院患者の治療を行っています。入院患者の内訳は、肺がんが約半数、次いで慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、間質性肺炎等のびまん性肺疾患、気胸などであり、入院患者の半数近くが救命救急センターを経由しています。
 当科で行う気管支鏡検査は、熊大の先生方の応援のもと年間約300件実施しており、件数は増加傾向です。内腔観察・肺生検はもとより、気管支壁腫瘍のマイクロウエーブ焼灼、難治性気胸に対する気管支充填術といった高度な検査・治療も行っています。
 また、チーム医療では、呼吸ケア(RST)の要として看護師、臨床工学技士、理学療法士など多職種スタッフと協働で人工呼吸管理症例に対する定期ラウンドを行い、合併症防止による早期抜管やICU滞在の短縮、入院死亡率の減少などの改善を目指しています。
 ご興味のある方の見学を歓迎します。いつでもご連絡ください。

【主な医療機関の指定等】

救命救急センター、小児救命救急センター、熊本県ドクターヘリ基地病院、災害拠点病院、臨床研修指定病院、地域医療支援病院、地域周産期母子医療センター、地域がん連携拠点病院、病院機能評価認定病院(一般病院2)・付加機能評価(救急医療機能)、卒後臨床研修評価機構臨床研修評価認定病院

熊本地域医療センター 呼吸器内科部長 藤井慎嗣

 熊本地域医療センターは,熊本市医師会立の病院で昭和56年に開設されました。現在の診療科は呼吸器内科,消化器内科,代謝内科、循環器科、小児科、外科、消化器外科、小児外科、脳神経外科、麻酔科、放射線科で入院病床227床(緩和ケア病棟10床を含む)です。当院では,設立当初より熊本市の委託をうけて夜間(18時から翌日の朝8時まで)、休日における内科、小児科、外科の一次救急医療を行ない、入院が必要な二次救急にも対処しています。一次救急には熊本市並びに近郊の医師会員はじめ熊本大学付属病院あるいは当病院医師が1年を通して診療を行っています。いわゆる“熊本方式”として全国的に高い評価を受けています。
 呼吸器内科は現在4名(うち日本呼吸器学会専門医・指導医および日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医3名)で診療を行っており,年間の入院患者ののべ数は約500人です。内訳は,肺癌が約40%,呼吸器感染症が約40%,気管支喘息・COPDが約10%、間質性肺疾患が約5%となっています。
 診断に関して,検査は出来るだけ外来で行う方針で,経気管支生検・局所麻酔下胸腔鏡検査等もほとんど外来(日帰り)で行っています。診断がつき次第病期診断も遠隔地の患者を除き外来で行い、入院期間の短縮を図っています。平成25年度に呼吸器内科で行った気管支鏡検査は168件、その内マイクロ波凝固が39件、ステント留置が11件でした。また、透視下肺穿刺が32件、CTガイド下肺穿刺が13件,局所麻酔下胸腔鏡は10件でした。また、平成25年9月からEBUS-TBNAも開始致しました。
 治療に関して,肺癌については特に,治療の進歩のためにもできるだけ臨床試験に参加するよう努力しています。現在は,日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)肺がん内科,西日本がん研究機構(WJOG),九州肺癌研究機構(LOGIK),熊本胸部腫瘍研究グループ(KTOSG)等に所属しています。また、患者さん自身の生活を大切にするために、外来化学療法を積極的におこなっております。
 また,内視鏡的治療に力を入れており,マイクロ波凝固療法,高周波スネアやステント留置を用いた癌性気道狭窄の治療,難治性気胸などに対するシリコン充填術を行っており,県外から患者さんの紹介も頂いています。

熊本中央病院 呼吸器内科 部長 平田奈穂美

 熊本中央病院は総病床数361床で、呼吸器科は内科、外科合わせて62床で診療を行なっています。現在スタッフは内科7名、外科3名が所属しています。当科では呼吸器疾患全般の診断と治療を行っていますが、呼吸器外科とのシームレスな連携が特徴です。このため呼吸器疾患の診断・治療に関して、手術を含めた外科処置も転科などの手続きなく、速やかに行うことができます。また、放射線科とも合同のカンファレンスを行い、症例検討や画像診断の技術向上に努めています。さらに回診、カンファレンスを通じて、呼吸器内科の中でも全症例についてスタッフ全員で検討するというチーム診療の体制をとっています。
 当院は県下全域の医療機関からの紹介を受けていますが、入院患者さんのおよそ70%前後が紹介症例です。平均在院日数は15日程度で、急性期に特化した体制となっています。 

【症例数・治療・成績】

 延べ入院患者数は呼吸器科全体で年間約1,400例、腫瘍性疾患(特に肺癌)が半数以上を占めています。肺炎、気管支炎等の感染性疾患が20%ほど、肺気腫、気管支喘息といった閉塞性肺疾患が15%前後、その他間質性肺炎等の症例が多く入院しています。
 肺癌の治療に関しては、呼吸器科内部の検討会に加え、放射線科、外科を交えたキャンサーボードを毎週開いて、チームとして検討しています。化学療法は入院中のスケジュールをクリティカルパスで管理し、より高い質の診療ができるように随時改訂を行なっています。専門看護師や薬剤師の育成、関連スタッフへの教育等も定期的に行っています。
 急性呼吸不全等の呼吸管理は、主に一般病棟に併設したRCUで行ないますが、挿管人工呼吸、NPPV、ネーザルハイフローなどの呼吸管理に必要な最新の機器を揃えるとともに、呼吸ケアサポートチーム(RST)活動を通じて呼吸ケア全般にわたり最新の知識に基づいた治療を行なうことができるように努力しています。
 また、当科では専任の呼吸理学療法士が手術後ならびに呼吸不全回復期の急性期リハビリテーションを実施しており、早期の回復と合併症の予防に力を入れています。また、急性期病院だけでは十分なADLの改善が得られないこともありますので、リハビリの専門病院と連携をとり、在宅にむけての病院間連携も推進しています。
 検査としては、年間の気管支鏡施行数は約500件で、一般の観察、組織検査以外に、気管支鏡下のマイクロ波による気道内病変の焼灼、スネアによる腫瘍切除、さらに狭窄した気道へのステント挿入などの処置も行なっています。また、超音波気管支鏡(EBUS-TBNA)を年間120例ほど施行しています。
 重症度が高く忙しい病棟ですが、患者さん本位の医療を展開しながら、自らの医療技術も高めることができるような診療体制を構築するよう、スタッフ一同努力を続けています。

熊本市民病院 主席診療部長 呼吸器内科部長 福田浩一郎

 熊本市民病院は病床数562床、33の診療科を有する県内有数の総合病院です。多くの診療科がありますが、各科の垣根は低く、困ったことがあればいつでも電話1本で各科医師に相談することができます。また、内科には九つの診療科がありますが、「内科は一つ」という考えから毎週月曜日夕方、内科全体27名の医師と内科をローテート中の研修医が一堂に会し、内科医局会を開催しています。その中で内科各科のトピックスなどについての「ミニ講演」を行っており、内科学全般の知識を深めることができます。さらに、毎年7月から8月にかけては早朝に「夏期ゼミナール」が開催され、ほとんど全ての診療科の講演を聴くことができます。臨床的なものばかりであり、とても勉強になります。
 さて、当院呼吸器内科の紹介をいたします。スタッフは感染症内科医師1名を含めて現在5名です。救急車や緊急入院が多く、定床数は34床ですが冬場などで多い時には50床を超えてしまうこともあります。ICUやHCUが充実しており、重症例の人工呼吸やNPPVも管理しやすい環境です。1~3名の研修医が2ヶ月間ずつローテートしますが、数名ずつ患者を担当し、呼吸器内視鏡検査や色々な処置もある程度マスターしています。また、多くの学会での発表や研究会発表も行っています。
 江津湖のほとりにある熊本市民病院は、平成33年には新病院がグランドオープンする予定です。環境が整った当院で呼吸器内科医として一緒に仕事をしてみませんか。

国立病院機構 熊本再春荘病院 副院長 呼吸器センター長 松本充博

 国立病院機構熊本再春荘病院は合志市須屋に位置し、菊池郡市医療圏に属しています。県北の中核病院として救急急性期一般医療と政策医療(神経筋疾患、重症心身障害、成育医療、運動期疾患など)を受け持っています。
 沿革は昭和17年11月傷疾軍人療養所「再春荘」として創設され、昭和20年12月厚生省に移管国立療養所再春荘として発足しております。その後、長年にわたり結核を主とする専門医療施設として呼吸器疾患医療に携わってきましたが社会的および医療環境の変化に伴い平成14年12月結核病棟閉鎖し現在に至っております。
 平成22年8月に熊本県指定がん診療連携拠点病院、24年8月から地域医療拠点病院の指定を受けました。
 平成26年4月1日付けで呼吸器内科、呼吸器外科が一体となり呼吸器センターを開設し、県北呼吸器疾患医療の中核を担い、呼吸器疾患の診断と治療、専門医療のさらなる向上を図り地域医療に貢献したいと考えています。
 呼吸器センターの対象疾患は「急性期呼吸器疾患、慢性呼吸器疾患の急性増悪を対象としての診断と治療」です。
具体的には
1)呼吸器感染症の診断と治療(結核を除く)
2) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息等の診断と治療
3) 呼吸器腫瘍:肺癌、縱隔腫瘍等の診断と治療
4) 呼吸不全の診断と治療
5) びまん性肺疾患の診断と治療
6) 睡眠時無呼吸症候群の診断と治療
7) その他の呼吸器疾患の診断と治療
となります。
 がん診療に関しては診断機能としては、CT、MRI、シンチグラム(核医学)、超音波気管支鏡を始めとする内視鏡を有しています。がん治療に関しては外科手術(大部分は胸腔鏡による鏡視下手術)、抗癌化学療法、放射線治療、緩和医療を行っております。外来化学療法、外来放射線治療も併せて行っております。
 平成23年から当院でも年1回の緩和ケア講習会を医師、看護師、薬剤師を含めた医療従事者30名前後の参加のもとに開催しております。また、「がんサロン再春」を院内に設けがん患者さん同志の交流の場を提供しており、桜の花見会、クリスマス会などを行っています。
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息はいくつかの治験に参加し、一酸化窒素(NO)測定し、診断治療に役立てています。睡眠時無呼吸症候群は専用個室を用意し、診断と治療を行っています。呼吸器感染症は日本感染症学会連携研修施設の指定を受け幅広く診療を行っています。
 私どもが従来からモットーとしている診療の姿勢「4S」、Speed:迅速な対応、Service:患者満足度の向上、Skill:専門的な高度な技術・知識、Science:臨床研究と治験への参加をより一層推進したいと考えています。

熊本労災病院 副院長 呼吸器内科部長 伊藤清隆

 八代市は熊本県南を代表する中心的な市で、県下第二の人口13万人を有する田園工業都市です。当院は九州新幹線新八代駅、九州自動車道八代インターから至近距離にあり、県内のみならず九州各地からのアクセス便利な場所にあります。2013年1月に外来,救急センター、中央放射線部、中央検査部、内視鏡センター、一部病棟を新築移転、5月にはICUを稼働、今年4月にはヘリポート運用を開始、6月には駐車場も含めて全館リニューアルして開院60周年を迎えました。県南の中核病院の一つとして、23診療科で構成、がん診療拠点病院、地域医療支援病院、災害拠点病院、救急指定病院として24時間断らない医療を実践しています。研修病院としての歴史も古く、現在は臨床研修指定病院として、毎年管理型3名・協力型数名の研修医も受け入れており、常に10名前後で研修しています。来年から管理型枠が5名に増員になる予定です。
 呼吸器内科は5名で、県南地域医療機関からの紹介・救急患者に対応しています。昨年までの5年間の年間入院患者総数は651人から895人に増加し、肺炎・胸膜炎など感染症が39.9%、肺癌など腫瘍性疾患27.5%、気管支喘息・肺気腫など閉塞性肺疾患.8%、自然気胸3.0%、膠原病を含めた間質性肺炎4.3%、その他16.1%となっています。

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